2014年7月オープン以来、多くのメディアで取り上げられ、常に注目浴びているコーヒーショップLIGHT UP COFFEE。白と水色を基調とした、明るくシンプルな空間。向かいには公園、壁面には絵画や写真、棚には世界中のカフェのカップが並んでいます。オーナー兼ロースターの川野優馬さんより、ブレンドコーヒーについて伺いました。
ブレンドコーヒーを作る目的は?
様々な人に美味しいコーヒーを知ってもらうためと、情景通りの味を作り出すため
二つの目的があります。一つ目は、バランスのとれた味で飲みやすく、様々な好みを持った人に受け入れられるコーヒーを作ること。常時提供しているLIGHT UP BLENDはコスタリカが50%、エチオピア25%、ケニア25%でした。(2015/3/20取材時)
二つ目の目的は、狙い通りの味を作り出すこと。LIGHT UP COFFEEでは「季節のブレンド」があり、ブレンドすることで情景通りの味を作り出しています。例えば2年前のバレンタインブレンドは、チョコとオレンジピールでできたオランジェットと呼ばれるお菓子をイメージして、ナッツ感のあるコーヒーと柑橘系の引き立つコーヒーを合わせてブレンドを作りました。
一般市場に出回っているコモディティコーヒーのブレンドは、豆の欠点隠しのためにブレンドしていることが多いのに対し、スペシャリティコーヒーのブレンドは、それぞれの豆の良い味を相乗効果になるように組み合わせ、独自の味を生み出します。
ブレンドコーヒーはどう作る?
共通の味を掛け合わせて、良いところを引き立たせる
イメージ通りの味を作るには、そのイメージに合った味を共通に持つ豆を複数用意します。共通の味を持った豆をブレンドすることで、その特定の風味をより強く表現することできます。反対に、それぞれ異なる味を持つ豆をいくつもブレンドすると、どの風味も伸ばすことができず、特徴のないフラットな味になってしまいます。
基本的に使用する豆の数は2、3種類。ベースとなる豆を全体の半分程度用いることが多いとのこと。
ブレンドのレシピはどう最終決定する?
とにかくカッピング
何よりもカッピングが重要。豆の味を一番確認することができるのはカッピングだからです。カッピングで感じられる風味が、その豆の味の全てです。逆にカッピングで感じられない味は、抽出方法を変えても作り出すことはできません。試作品は必ずカッピングします。カッピングと調整を繰り返し、最終決定します。コーヒーを味見するために、ドリッパーやフレンチプレスは使いません。抽出方法によって味に差が出てしまうからです。
コーヒーの味は誰が作るもの?
農園が作るもの
ブレンドコーヒーには、味を作り出せる楽しさがありますが、コーヒーの味を作るのは、ロースターでもバリスタでもなく、農園です。コーヒーは農作物であり、そのものの味が何より重要だからです。
混ぜる必要が無いなら混ぜないのが一番。シングルオリジンのままでコーヒーを楽しむことを大切にしています。農家が丁寧に育てたスペシャリティコーヒーは、混ぜなくても味が完成しているからです。LIGHT UP COFFEEでは、毎年春に「お花見ブレンド」を作っていますが、今年仕入れたエチオピアがイチゴヨーグルトのような甘さを伴う優しい酸味に華やかな香りがあり、桜と青空の下で飲むのにぴったりということで、ブレンドを作らず、「お花見ブレンド」ならぬ「お花見シングル」にすることにしました。
ブレンドも美味しいLIGHT UP COFFEEは、コーヒー豆を農作物として扱い、素材本来の味を生かすことを最重要視しています
LIGHT UP COFFEEではクリスマスブレンドやバレンタインブレンドなど、季節限定の魅力的なブレンドがあり、季節の情景を映し出すフレーバーが楽しめます。ただし、彼らはブレンド作りの大前提として、農作物としてコーヒーを扱い、農園が作り出した味を理解し、コーヒー豆本来の味を生かすということを守り続けています。
LIGHT UP COFFEE
【住所】東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-15
【営業時間】10:00 – 20:00 (火曜日のみ12:00 – 18:00)
【電話】0422-27-2094
【web】http://lightupcoffee.com
著者:早稲田大学珈琲研究会
早稲田大学公認のコーヒーサークル。学園祭での出店を始め、オリジナルのブレンド作りなどコーヒーに関する様々な活動を行っている。